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    一話 クチサケの涙 Vol.44

    • 2011.03.16 Wednesday
    • 12:41
    陽輝は京子の顔を見ずに食事をする。
    京子を下手に意識をすると反って迷惑をかけるかもしれないからだ。
    また、京子自身も、自分が原因で陽輝に何かが起こることを恐れていた。
    「何故今なのか。」
    陽輝は顔を合わさずも、悩み続けた

    一話 クチサケの涙 Vol.43

    • 2010.12.17 Friday
    • 21:59
    ――“でも”がなんだ。信じたいモノ、信じた結果がどうなったとしても、“陽輝”には“京子”のそれに相応する何かがきっとある。
    しばらく抜け殻になっていた陽輝に、さっきの猫が脳に伝えてきた。……いや、猫はもうここにはいない。そう感じた。



    それから数時間――実際にはそんなにかかってはいないが、陽輝にはそう感じたのだろう――が経ち、「……ねぇ、何してるの?」と声がして我に返った。
    陽輝に声をかけたのは慶子だった。
    「あ、いや……」
    咄嗟に言い訳が出なかった陽輝は、何も答えることができずにその場を走り去った。

    一話 クチサケの涙 Vol.42

    • 2009.03.27 Friday
    • 00:42
    「……嘘だろ?」
    陽輝は唖然とした。
    「嘘も何も、これが事実なのよ」
    約束はした。だが陽輝は落胆してしまった。
    「どう?信じたくなければそのまま信じなくていい。信じるんだったらその事実の真相を調べることね」
    猫はそう言い残して暗闇の中へ消えていった。
    夢であれば痛くないはずだ。そう思い、陽輝は頬を抓る。
    痛い。
    「信じたくない。でも……」
    陽輝は魂が抜けたかのようにやる気を失っていった。

    一話 クチサケの涙 Vol.41

    • 2009.03.27 Friday
    • 00:29
    京子は陽輝の帰りを待っていた。
    ……遅い。
    京子は陽輝の帰りがいつもより遅いことに気がつき、同様し始めた。

    もし……。
    考えすぎだけど、もしかしたら…。
    ……うん、陽輝はそんなことしない。

    京子はそう言い聞かせていた。

    一話 クチサケの涙 Vol.40

    • 2009.02.28 Saturday
    • 15:35
    ――いい?事実がわかったところであなたは何もできないかもしれない……というより、何かをすれば更なる災いがくるわ。
    「災い?なんでわかるんだ?」
    ――それはあなたが今知ることではないわ。
    「つまり、見て見ぬふりをしておけ、と?」
    ――そういうことになるわ。
    「自分の命も危ないかもしれないのにか?」
    ――むしろ安全なのよ。何もしないほうが大丈夫よ。
    「どういうことなんだ?」
    ――そこまでは私もわからないわ。いい?後悔はしてはいけない、何も手出ししてはいけない。わかった?
    「……どこか腑に落ちるが、仕方ない。約束する」



    一話 クチサケの涙 Vol.39

    • 2009.02.15 Sunday
    • 22:24
    気が悪くなったのか?猫が話すはずがないだろう?
    ――犯人がわかればあなたは落胆……いえ、失望するわ。
    「どこにいるんだ!」
    ――ここにいるじゃない。
    「ふざけるな!顔を出せ!」
    ――だからここにいるじゃない。
    猫はフーと怒るような顔で鳴いた、のかもしれない。だが猫の声はせずに女性のような声が聞こえる。
    もし?この猫が話しかけてるとすればどうなるんだ?
    ……、いや、今だったら猫を信じなければならないのかもしれない。
    「君、なんだな?」
    陽輝は猫に問いかける。
    ――やっと信じてくれた?私が話しかけてるってわかってくれた?
    「まだ心配なのだが、今の状況じゃ君を信じなければならない。それで、犯人を知ってるんだよな?」
    ――覚悟はできてるの?
    「何のだ?」
    ――私がさっき言ったこと忘れたの?
    「失望する。だろ?この事件を調べることを始めてから覚悟なんてできてるさ。
    ――本当なのね?
    「本当だ。事件を信じたくなくても信じなければならない。そのために事実がどんなに酷くても覚悟している」
    ――……わかったわ。

    一話 クチサケの涙 Vol.38

    • 2008.09.27 Saturday
    • 16:41
     「…いえ、なんでもありません」
    下手に訊けば逆に怪しまれる。本能がそう示した。
    「……失礼しました」
    陽輝はその場を去った。

    陽輝は学校を出る。
    …何が原因なんだ?
    「なあ、犯人て誰だと思うんだよォ」
    自動販売機に問いかける。…当たり前だが返事はない。
    ふと陽輝は見上げる。猫がいる。
    「犯人が誰だか見てないのかよォ」
    陽輝は猫と睨み合う。
    みゃおん。
    猫が鳴きながら走り出した。
    「どこにいくんだよっ」
    陽輝は猫の後を追う。
    角のタバコ屋を過ぎた辺りで猫は止まった。
    「ここに何かあるのか?」
    猫に再び問いかける。
    にゃーん。――その時、何があったのだろうか。…幻聴だったのだろうか。猫の口元と合わせて女性のような声がした。
    ――知りたいの?

    一話 クチサケの涙 Vol.37

    • 2008.08.25 Monday
    • 11:32
    「それにしても、この学校の人ばっかりだな…」
    「え?どういうことですか?」
    一人の検査官がもらした言葉を陽輝は聞き逃さなかった。
    「最初の被害者から今まで、全ての人がこの学校の在学、あるいは卒業、それに教師。私はこの学校に関係している人がホシなんだと思うんですけどね」
    他の検査官が言う。
    「そんなことを一般の人に言わないでください。それで、何をしにきたのですか?」
    「あ、佐藤と最後に口を交わしたのは私です。なにかの参考になるかと思いまして…」
    「本当ですか?」
    「本当です。実は……昨日、ナカドウサトルの自宅を訪れました」
    陽輝は昨日のことを触れる。
    「なんのためにですか?」
    「……それは言えません。警察に言っても信じてもらえるか―――」
    「警察を信じない、と?」
    「いえ、そういう意味ではありません。ただ……」
    口裂け女と住んでる。なんて口が裂けても言いたくはない。
    「ただ?」
    「……。以前に似た事件ってありました?」
    ルモールの家で得ることができなかった情報が知りたかった。

    一話 クチサケの涙 Vol.36

    • 2008.07.19 Saturday
    • 00:26
    「…ということで、暫くの間、休校ということになりました」
    副タンが教室で告げる。
    喜んだらいいのか…、いきなりの休み…いや、自宅学習に生徒は動揺している。それもそのはず、いつ事件が解決するのか分からないからだ。
    少なくとも、陽輝は心当たりがあるのだ。昨日のルモール、今日の佐藤、二人とも最後に接触したのは陽輝なのだからだ。次に陽輝が接触する人物の安否によっては犯人になるかもしれない。
    その放課後、陽輝はキープアウトを押し切って新聞部室に入る。生前の彼を最後に見たということを警察に告げたかったからだ。
    「おや、君は以前の…」後藤教諭が殺害された時の担当をしていた刑事と同じ人だった。

    一話 クチサケの涙 Vol.35

    • 2008.07.01 Tuesday
    • 07:51
    もうフツウは戻らない。ただ前に進むだけ。

    休み時間中、教室を出た者はいない。
    緊急職員会議が開かれた昼休み。
    「これ以上被害が増えると休校になるかもしれない」
    「生徒の自宅待機ですか。しかし、昨日のニュースからすると、犯人は私有地に侵入するらしいじゃないですか」
    「私も見ましたよ。先生がたも注意しないといけませんよ。後藤先生の二の舞にならないでくださいね」
    「それで、休校はこの事件が片付くまでにしますか?」
    「多分そうなりますね」
    「それでは暫くの間、休校ということで、先生方、いいですね?」
    誰も否定はしなかった。

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