「それにしても、この学校の人ばっかりだな…」
「え?どういうことですか?」
一人の検査官がもらした言葉を陽輝は聞き逃さなかった。
「最初の被害者から今まで、全ての人がこの学校の在学、あるいは卒業、それに教師。私はこの学校に関係している人がホシなんだと思うんですけどね」
他の検査官が言う。
「そんなことを一般の人に言わないでください。それで、何をしにきたのですか?」
「あ、佐藤と最後に口を交わしたのは私です。なにかの参考になるかと思いまして…」
「本当ですか?」
「本当です。実は……昨日、ナカドウサトルの自宅を訪れました」
陽輝は昨日のことを触れる。
「なんのためにですか?」
「……それは言えません。警察に言っても信じてもらえるか―――」
「警察を信じない、と?」
「いえ、そういう意味ではありません。ただ……」
口裂け女と住んでる。なんて口が裂けても言いたくはない。
「ただ?」
「……。以前に似た事件ってありました?」
ルモールの家で得ることができなかった情報が知りたかった。