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- 2015.08.01 Saturday
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「屍喚師」2010/10/08-09ある日、自分の所に“彼ら”が現れた。
彼らに名前はなかった。
彼らは「追われている」そう言った。
事情はわからないが、しばらくの間、匿うことにした。
それから数日が経った。
彼らは外に出ることはなかったが、普通の暮らしをしていた。「追われている」人たちにはとても見えない。
そんな中、彼らの内の一人――『レイン』と呼ぼう――が、「外に出たい」と言った。
レインは彼らの中で紅一点的存在の女だった。
この家に来てから、彼女は他の彼らとは一言も話をしている様子はなかった。
同性がいなく辛かったのだろう、とそう思うことにした。
彼女の要望通り、一回だけだが外出を許可することにした。他の彼らは外に出る素振りをしなかったため、自分が同伴することにした。
「この世界……、これからどうなるの?」彼女が訊いてきた。わからない、と自分は返すと、「私たち、どこまで大丈夫なのかな……」と呟いた。大丈夫、とは多分「追われている」ということからなのだろうと思うことにした。
帰宅をし、食事を済まし、お風呂に入ろうとしたところ、彼らの一人――『ミラル』――が「一緒にお風呂入ってもいいか?」と言った。
自分はそれなりの男と一緒に入るというのに違和感を感じたが、一緒にお風呂に入ることにした。
お前たちはどこから来た何者なのか。自分はミラルに質問した。
「今さらですね。えっと、ジェインが言ってくれますよ、きっと」
ミラルはジェイン――彼らの中でリーダー格となっている――に聞け、とはぶらかした。
お風呂を出ると、自分はジェインに同じ質問をした。
「これを答えると、貴方の身に危険が伴うことになるが、それでもいいか?」
どういうことかはわからないが、彼らを匿っている行為がすでに危険だ、と少し思いながら「いい」と答えた。
彼らはある国の集団スパイで、一人ひとりに特殊な能力がある。
ある依頼でジェインが彼らを引きつれ自国の偉い人を殺ったところ、それが見つかってしまい、“裏国際指名手配犯”として逃げている。とのことだ。
裏国際指名手配とは、「国がスパイにスパイを殺害するように依頼する」みたいなことらしい。
一部、理解はできなかった部分もあったが、つまり、自分は指名手配されているスパイを匿っている。ということになる。
「危険とは、なんだ?」と訊くと、「それは今喋ったこと自体に暗示がかれられていて、……ここからは私たちもよくわからないが、事情を知った人の身も危なくなる」とジェインは少し悩んで答えた。